高校3年の夏

23/37
前へ
/113ページ
次へ
それから数日、山瀬は学校を休んだ。 どうやら先生たちには俺が殴ったことを言っていないようだ。 確かにそれを言えば、自分が槙野さんに何かしたこともバレてしまう。 「大丈夫かな…」と、槙野さんが心配する。 「あいつ鼻血と白目だったしな…」と、俺が他人事のように言う。 その数日後には、槙野さんの心配をよそに何食わぬ顔で山瀬が登校してきやがった。 もう一発くらい殴りたくなるくらい普通にしている。 「もう、いいの。」と槙野さんが言うから我慢しているが、本当は殴り飛ばしたい。 もうすっかり夏になり、蝉の鳴き声がうるさい季節になっていた。 相変わらず俺は槙野さんと祥子さんの所へ通っている。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加