2:依頼人

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コン、コン。 背後で事務所のドアがノック音がした。 チャイムがないので依頼人が来ればこうなるのは分かるのだが、この事務所に数ヶ月いても今だに馴れない。 「はぁーい。どうぞー」 レイは気にせずにドアの向こうに呼び掛けると、ドアから30代辺りの女性が中に入ってきた。 「浮気調査ですか?」 「い、いえ、違います」 レイは女性を見るやいなや、不適切な発言をした。 まあ、ここ最近は浮気調査が多かったのでそう思ったのかもしれないが、初対面の女性に満面の笑みで言う言葉ではない。 女性はレイの容姿と態度に少し後悔したような表情をしている。 「では、ご用件は? あぁ、まずはソファーにでも。レン、コーヒーね」 レイはそんな女性の表情を理解してないのか、そう言った。 女性は女性で流されるようにソファーに腰を下ろした。
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