2:依頼人

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「なるほど金庫の暗号解読ですか」 レイは依頼人用のソファーに女性と対面になるように腰を下ろす。 「は、はい」 女性は頷いた。 今回の依頼人はある作家の担当編集者で、最近亡くなった作家の金庫の暗証番号を解読してほしいとのこと。 しかし、その内容には疑問がある。 「でも、そういうのは家族とかがするものじゃないんですか?」 私が質問すると女性はこっちを見て悩んでいる。レイはその様子の意味に気づいたらしく間に割り込む。 「彼女、警察官志望なんですよ。でも警察の職業体験なんて無理でしょ? だからちょっと近い探偵のアルバイトしてるんです」 もちろん嘘だ。 「は、はぁ」 「少なくとも秘密を簡単にバラすような子ではないので安心してください」 私もレイに合わせて頷く。 気を利かせて出て行っても良かったのだがせっかくレイがフォローしたのでそれに合わせる事にした。 女性も安心したらしく「なら」と言って話し始めた。
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