壱話 蜻蛉
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「私の顔に何か付いてます?」 そう訊かれてハッとした。 慌てて首を横に振った。 「い、いえ…何でもないです。」 裏返りそうな声を抑えて、かろうじてそれだけを答えた。 見とれていたとは恥ずかしくて言えない。 「あの…この店の人ですか?」 誤魔化すようにそう質問した。 すると彼女は、 「えぇ」 と微笑を浮かべて静かにそう答えた。 さらに、 「君が息吹君だね。」
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