壱話 蜻蛉

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あまりゆっくり出来なかった朝食を終えた俺は、縁側にいた。 今日から夏休み。 受験生だから勉強しないといけないって思っているけど、 正直やる気が出ない。 「はあー……」 縁側に腰掛け空を仰いだ。 太陽がじりじりと照りつけて暑い。 暑すぎる。 熱風が俺の頬をかすめただけで 体力を奪われていくような感じになった。 空から目を逸らし、ふと横を向いた。 じーちゃんがすぐそばに座っていた。 「今頃気づいたのか?」 にやにやしてそう言ってきた。 声には出さなかったけれど、 マジでビビった。 俺は妙にうるさくなった胸に手を当てて 「…何してるの?」 ゆっくりと呟いた。 「実は息吹に頼みがあってな。今暇か?」 「忙しそうに見える?」 一瞬の沈黙。 先に口を開いたのはじーちゃんだった。 「暇ならお前に行ってほしい所がある。」 ………どこに?
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