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急に彼女の顔が浮かび上がる。
コガネは指先から青白い火を次々と出して二人を囲む。
辺りは気づかないうちに薄暗くなっていた。
遠くの空では橙と闇色が入り混じる。
青白い火の玉がゆらゆらとコガネの表情を変えていく。
階段脇の杉林に暗闇がわだかまり、潜んだものを隠す。
「タネも仕掛けもございませんってね。
火の玉についた釣り糸も、
釣り竿持った人もおらんよ」
また読まれた!
確かに目を凝らしても釣り糸は見あたらなかった。
でも
「タネが無いなんて嘘だ!」
「そう思うなら調べたらええじゃん。
火傷せんように気ぃつけてね」
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