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結局笑いが収まるまで十分ほどかかった。
「で、待っとったてことは、ようやく話聞いてくれる気になったんじゃね?」
ふ
「っざけんな! 火の玉で帰れないように邪魔しといてのセリフか!」
「じゃってぇ……笑うとる間に帰られたら困るしぃ」
なんかクネクネしだしたぞこいつ。
「じゃあ笑いも収まったことだし帰って良いな?」「ちょぉちょちょおっと待ったぁ!」
慌てて俺の身体を押し止めるコガネ。
「火の玉も見て神様かもしれんって思ったじゃろ? なんでそこでそんなつれない発言が出てくるんよぉ!」
「水かぶって寒いから帰りたいんだけど」
「乾かす乾かすいくらでも火の玉作って乾かすから」
「その火の玉が火事にしたせいで水かぶるハメになったんだろうが!」
コガネが、そうだったぁ!と、わざとらしい表情で額をペシンと鳴らす。
「でもでもぉ、せっかく髪まで焦がして神様が引き留めとるんじゃし話だけでも聞いてってよぅ」
袖を引っ張るな、伸びる。
「焦がした髪は自分のじゃなくて俺のだけどな」
「あ、ちなみにさっきのは髪と神がかかっと……あぁ! 嘘嘘! 嘘じゃないけど嘘にして!」
帰ろうとしたら、また引き止められた。
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