1章 はじめのいっぽ

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はぁ、とため息を一つ。 聞かなきゃ帰れないらしい。 「もう良いよ、話だけは聞いてやる」 「ありがとうありがとう本当にありがとう」 コガネは目を潤ませて手を握ってきた。 狙ってやってるのはわかってるのに顔が近いせいで目がすいーっと泳いでいく。 女の子の手って滑らかで柔らかくて気持ちいいんだなぁ、と考えてこいつが心が読めることを思い出す。 くそっ。コガネのにんまり笑顔が腹立たしい。 コガネは逃がさないよう手は握ったまま話し始めた。 「ウチの名前はコガネ。 さっきの神社の神様よ」 巡り巡ってようやく最初に戻ってきたな。
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