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「簡単に言うとね」
ごほんと咳を一つ置いて
「ウチがキミの願いを叶えてあげようってことなんよ」
怪しい。
怪しいが、どうしようもなくて藁にもすがる思いで信じてもいない神頼みに来たくらいだ。
その神様が自ら叶えてくれるとは願ってもないことではある。
しかし、旨い話には裏がある。ただより高いものはない。
「ありがたい話ではあるんだが、」「裏なんか無いよ?」
……なんか俺のセリフ遮られてばっか。
「いやでも、」「当然お金もいらないし魂が代償なんてことも無い。なんもいらない」
コガネのニヤニヤ笑いが止まらない。
こいつ意図的にカブせてやがる。
「なんでだ」
カブせられなくて苦々しい顔をしたが気を取り直して
「特に深い理由は無いよ」
「それ」「それじゃ納得出来ないって言うなら、ほうじゃね……」
コガネが少し頬を赤らめて真っ直ぐ見つめてくる。
「キミが気に入ったから。
じゃあダメ?」
良い!
と即答しそうになった。
今までの人生でこんな素晴らしい言葉を言われたことがあっただろうか、いや無い。
だが信用しきれない自分もいる……。
「ちゃんと説明してくれるなら良いよ」
赤面して目を逸らしながらツンデレみたいになってしまう。男のツンデレってきついよな。
「さっすが! 話が分かるぅ!」
……テンションの変わりようについてくのがしんどいな。
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