1章 はじめのいっぽ

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霞稲荷神社(さっきの神社)の神様であるコガネは、もっと偉い神様の部下らしい。 その上役の神様は俺の願いがあまりに鬼気迫っていたため、普段なら聞き流すところが耳を傾けてみた。 それでその内容があまりに可愛そうだから同情したそうだ。 で、なんらかの怪異に巻き込まれている可能性があるからコガネが遣わされた。 そして今に至る。 コガネが火の玉で暖めながらしてくれた説明を要約するとこんなところ。 「凄いよね、神様にまで願いが届くこと自体が稀なのに、直々に叶えてもらえるなんてまず無いことなんよ?」 「ちょっと待った!」 コガネが(なに?)と、クリクリした瞳を向けてくる。 顔赤くなるからこっち見んな。 「お前が実は神様のパシリだってこととか、意図的にその神様と自分を混同して恩着せがましいこととか、俺同情されたの? とか、色々聞きたいことはあるんだけど、まず。 ……怪異って何よ」 「怪異とは」 人差し指を一本立てて話し始めるコガネ。 「化生(ケショウ)、つまり妖怪によって引き起こされる現象のこと。 キミは妖怪なんているわけないって言いたいんかもしれんけど、神様がおるんじゃし妖怪もその流れで認めちゃってよ。 見える人にとっちゃ妖怪なんて珍しいもんじゃないし」
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