1章 はじめのいっぽ

3/17
前へ
/90ページ
次へ
はっと気付く。 「俺なにやってんだ…… ふらふらこんなとこ来てガチで神頼みとか……」 (終わってね?) という言葉は飲みこむ。 言ったら余計に凹むから。 来た時と同じようにふらふら境内を抜けると真っ赤な鳥居。 鳥居からは下る石段が伸びている。 疲れてるんだ。 主に精神的に。 中高一貫の男子校を卒業して華々しく大学デビューをするつもりが大失敗。 入学式のパンツ一丁事件から始まり、 痴漢冤罪事件、 パンツ泥棒疑惑に 泥酔強姦冤罪事件などなど 週1ペースで人生が終わりかけている。 学内では、前科5犯だの 女は全員裸に見えているだの いや性器にしか見えてないらしいだの あいつが笑うのはターゲットの女を決めた時だの、 と根も葉もない噂が背びれを付け尾ひれを付け羽まで生やして飛び交っている。 なにそれ、その服が消える目「ちょっと」欲しい。 ……ある意味大学デビューを果たしたとも言える、 当初とは方向性が全く違うけど。 噂のせいで迂闊に笑うこともできず、 顔をきりりと引き締めているつもりが「ちょっとあんた」怖さに拍車をかけているらしく、 新しい友達なんかできるわけない。 学校内は諦めて外で頑張ろうとした矢先がさっきのストーカー冤罪事件だ。 疲れたよパトラッシー…… ちょうど良い具合に今日はバイトも無い。 早く家に帰って寝よ「 聞けやゴルァァァァ!」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加