第1区

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一人でシャワーを浴びるつもりが由美も入るという事で、急遽風呂を沸かした。 9時には業者が荷物を取りに来る事になっていたため少し焦っていた。 風呂が沸いたという通知音が鳴り、俺は先に風呂に行くと伝えた。 かららららら。この風呂とも今日でお別れだと思うと少し寂しい気がした。 シャワーで軽く体を洗い流し、浴槽に身を納めた。 「ふぃー。やっぱり風呂はいいなあ……。」 かららららら。由美が入って来て思わず見てしまった。小学生になる前に由美と入った事があるが、………成長は誰でもするんだなと実感した。 由美は結構身体つきは良い方だと思っていたけど、ここまでとは思っていなかった。 「あんまりじろじろ見ないでよ……恥ずかしいから。」 バスタオルで覆われているその体を見てつい呟いていた。綺麗と。 「嬉しいよ……光輝がそう言ってくれると。」 それから二人で浴槽に浸かっていると、由美が口を開いた。 「私ね………小学生になる前から、光輝が好きだったんだよ。……だから小学校に上がってから光輝がいなくてとてもショックだった。でも信じていたから……。光輝は帰ってくるって。中学で光輝を見つけた時、とても嬉しかった。また光輝に会えたって。だから、今度も光輝を信じようと思うの。高校は違ってもきっとまた此処に戻ってくるって。」
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