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ああ、やっぱり俺はバカだったんだ。こんなに俺の事思ってくれている彼女がいるのに、自分が恥ずかしくなった。何を怖がっていたんだろう。
「ありがとう。」
一言お礼を言って浴槽を出た。体を洗っていたら由美が背中を流してくれると言うので、お言葉に甘えた。
ごしごしと彼女は背中を一生懸命流してくれた。
頭を洗おうとシャワーを浴びた時、由美がなにか言っている。なに?と聞き返した。
「………も……あ…め……ない。」
今度は、シャワーを止めて振り向いて聞き返した。
「でも、………あきらめられない。」
さっきまでの穏やかな由美はいなかった。そこには暗い表情の由美がいた。
浴槽から出て俺の後ろに来るやいな、無理やりキスをされ何かを飲まされた。いつの間にそんなものを口に含んでいたのだろう。
「なにを、飲ませた……?」
息が上がる。
「すぐに楽になるよ。私がちょっと手を加えたの。光輝が呑み込んですぐ溶けるようにしたから。効いてきたでしょう?」
朦朧とする意識の中、彼女が薄く笑みを浮かべていたのが分かった。
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