第1区

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まだ気温が上がり下がりする曖昧な季節━━━。 明日は懐かしい場所に引っ越す。 こんな都会よりはきっといい場所だ。昔の思い出がそう言っている。思い出は美化されると良く言うが俺はそうは思わない。 確かに交通の便や買い物には多少の差があるかも知れないが、それよりもきっと良い物があると信じている。 俺は、小学生に入る前まで今いる此処で育った。 しかし、両親の仕事で俺がこれから引っ越す場所に引っ越す事になったのだ。 田舎なんて嫌だ、そう言って駄々をこねていた頃を思い出す。近所には友達も居たし仲の良い女の子もいたが、引っ越してからはそんな事はどうでも良くなっていた。 毎日が楽しくて、楽しくて自然の少ない都会では味わえない物をそこでは味わえた。 だから、小学校を卒業してまた都会に引っ越す事になった時は大泣きした。結局両親に言いくるめられ、引っ越すのだが……。
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