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明日はいよいよ、引っ越す日。ようやく由美ともお別れできる。
いいやつだったのにどうしてあんなに怖い奴になってしまったんだろう。
家には俺一人しかいない。
兄弟はいない、普通の高校生になろうとしている少年だ。
「明日は早いし、もう寝るか。」
電気を消して布団に入ろうとした時だった。窓の外からうっすらと見えた人影を確認しようとカーテンの隙間から覗いた。
驚きと焦りと不安が込み上げてきた。まだうすら寒いというのに俺の額からは、大粒の汗が吹き出し始める。
「なんで………なんでいるんだよ。」
彼女が………由美がこっちを見ていた。何か言っているように見えた。
「いかせない。こうきはわたしのもの。」
そう言っていた。気がする。
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