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俺には分からなかった。どうして彼女がこんな事をするのか。俺がバカだから分からないのか?
「クスクス……どうしてこんなするのって顔してるね」
由美は笑っていた様に見えたが、目だけはとても悲しそうだった。
「教えてあげる。まず光輝の家に入れる理由ね……実は光輝の両親にお願いされてね。」
すべて理解した…………つもりでいた。けど、俺の予想とは全然違っていた。彼女は本気で俺の事を思っていてくれた、それで俺の両親にすべて話して聞いていたそうだ。田舎に引っ越す事、両親が海外に行く事。
「でも、もう決まった事だし。俺は行かなきゃならない。俺も由美の事は大切な友達と思っているよ。」
今が何時なのか分からなかった。携帯は置いてきてしまったし、家にある時計はダンボールの中だ。とりあえず、ベタベタな体を洗いたかった。
「なあ由美、俺、汗かいて気持ち悪いんだ………だから、風呂に入りたい。手をどけてくれるよな?」
少し沈黙が続いた。なにか、探りを入れるような目で俺を見ていた。
「いいけど、私も入ってもいい?」
「まあ━━━いいけど。」
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