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『私は私にできることのやってみます! 証拠が見つかれば、警察だって信じてくれるはずです!』
「ちょ、ちょっとまってくれ! そんな…危険なんじゃないか? きみひとりで…」
『ひとりじゃないですよ!』
「え?」
『生徒会の仲間がいるじゃないですか! 私にも、東君にも…』
「でも……」
『東君。一人で悩まないでください。きっとみんな協力してくれます。まずは私が、東君の証言の裏付けになるようなものを探してみます。何か見つかったら、それを持ってみんなに協力をおねがいしましょう』
「……」
言葉が出なかった。
ずっと、
気が弱い子だと思っていた。
僕なんかより
よっぽどしっかりしているじゃないか。
『だから、もう一度聞かせてくれませんか? その話を、くわしく』
「わか……った…」
背中をさすられているような
気分だった。
意図せず、
言葉が漏れてくる。
ふたたび、
こんどはより詳しい説明を聞いた彼女は、
しばらく黙考した後、
探るようにこうつぶやいた。
『鍵が……かかってたんですよね?』
「ああ。そうだよ」
『……どうやってかけたんでしょう……』
「!!」
そうだ。
なぜ気づかなかったんだ。
鍵をかけたということは、
犯人は
鍵を持っていた
ということじゃないか。
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