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過去に帰ることができた松陽を待っていたのは、静まりかえった松下村塾だった。
松「……過去を変えることは許さない。そういうことですか。」
この先に起こることがわかってしまった松陽の自嘲気味な言葉は静かな部屋に吸い込まれ消えた。
黒「……お前が、吉田 松陽か?」
気付けば、後ろに黒夜叉が立っていた。
松「……そうですが、何かご用ですか?」
黒「お前を殺す。」
向けられた刃に、
松「やはり、少しの足掻きも許してはくれないんですね。」
それでも望みを賭け、立ち向かった。
―――
松「かはっ!」
ボタボタと流れ落ちる血に、松陽は理解した。
ああ、私は死ぬのだと。
黒「……とどめだ。」
ああ、あの子は来るのだろうか?
あの時と同じように、私を護ろうとする為に。
向けられた刀を前に、そんなことが頭をよぎった。
子銀「先生――ッ!」
目の前に飛び出した銀色は、松陽が来てほしくないと願ったもの。
どんどん傷付いていく銀色。
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