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仕方がない、か…
「お、俺は賛成…」
一発目にミスったせいでクラス中から注目を浴び、語尾が尻すぼみになってしまった。
「っしゃあ!いっちょやってやるかぁ!」
クラス中に響き渡る声で叫んだのは野球部の森内輝(もりうちひかる)だった。
その言葉を皮切りに、クラスのみんながやる気を持ち始めてきた。
(やっぱおれじゃあ駄目か…)
少し自嘲気味に笑っていると、誰かがこっちへ近づいてきた。
「ありがとね、谷口」
…え?
目の前にはいつぞやの忘年会のときのように藍澤が微笑を浮かべてた。
「いや、うん。結局輝が場を盛り上げたから俺は何も…」
「でm「さとみーーーー曲決めるの手伝ってーーー」」
何か言おうとした藍澤だったが、寺内が呼んだのでもう一度ありがとね、と言うと走って人ごみに消えてしまった。
俺はこの時確信する。
「もう気持ちを落ち着かせるなんてできねえ」
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