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全部で15人ぐらいの行列で、一つの大部屋に入っていった。
ちなみに男子7の女子8だ。
なぜ少ないのかというと、ほかの人は部活があるので遅れてくるそうだ。
皆が入って、クラスのムードメーカー的な存在で今回の打ち上げの企画者の藍澤聡美が1曲目を入れた。
俺は、アニソン以外に興味はないので、部屋の隅でイヤホンしながら寝ていようかな?なんて思っていると、
アニソンのイントロが流れ始めた。
え?なんで藍澤が?一人疑問が尽きない俺は藍澤を見て呆然とすることしかできなかった。
すると、隣にいる藍澤の友達の寺内美樹がノリノリな感じで藍澤とジャンプしていた。
後で知ったことだが、学園祭のカラオケ大会で、二人でその曲を歌い銀賞を獲ったらしい。
そんなことをまったく知らない俺は藍澤を唖然としながら見ていると、目が合った。
ヤバイ。俺は軽度の女性恐怖症だったので、思わず目を反らそうとした。
「一緒に歌わない?」
アニソンのイントロが流れている中、しっかりとその声を聞き取った。
何かの間違いだろうと思って藍澤を見ると、微笑を浮かべながらマイクを差し出してきた。
俺はゆっくりとマイクを取るとスイッチを入れ、藍澤・寺内と歌った。
この曲は2人で歌うものだ。3人で歌うなんて聞いたことがない。
しかし、もともと3人用だったかのように俺らはぴったり合った。
「あなたがいて~」
「「あなたがいて~」」
「私がいて~」
「「ほかの人は消えてしまった~」」
…
歌いきった後、すぐに次の人にマイクを渡し、俺は藍澤を見た。
ショートカットの髪型に小さな体型。可愛い顔に、パッチリとした目。
流行っぽい服に、タイツの上からはくショートパンツがすごく似合っている。
ずっと見ていたことに気づいたのか、藍澤はこっちを見ると微笑んで言った。
「谷口ってすごいんだね」
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