怨霊

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 天心さんの言葉を聞き、また彼の指が私の肩を指差しているのを見れば思わずゾッとして一歩前に出た。ここまで着いてきていたと思うと、体が震え始めて落ち着かせるように自分を抱き締めた。 「なんだ、気づいてなかったのか」 相変わらず私の背後を見据えながら、呆れたような言葉を漏らした天心さんは何もしようとしていない。それを見た私は声を張り上げた。 「は、早く退治してください!!」 「退治?……勘違いしているようだが、此方が一方的に無理矢理成仏させることは基本的には無理だ。しかもそいつはお前に強い思いを抱いてるみたいだしな」 「……それって好きっていうこと?」  天心さんが無表情のまま私に視線を移したが、その目付きは冷たく口調もどこかキツく感じた。 「それなら簡単なんだが……まぁいい、早く経緯を教えろ」 再び呆れたような言葉を口にしながらも、私を見つめて彼がストーカーになった理由を聞いてきた。私は思い出したくもない出来事を、頭の中から引っ張り出して天心さんにわかりやすいように伝えようとした。天心さんは相変わらず私を静かに見つめていたけれど、その眼差しは真剣だったことは覚えている。  私が話し終わると天心さんは暫く黙っていた。すると少し間が空いてからゆっくり口を開いた。 「だいたい理解した。……やはり思いを断ち切らないといけないな」 「だから彼の思いってなんですか……?」 私が何気なく呟いた言葉を聞いた天心さんは、再び黙ってしまったが直ぐに口を開いて私に彼の思いを伝えてくれた。
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