幼稚園児は笑わない:嬉々丸

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だが、その日はいつもと様子が違っていた。 珍しく慌てた表情で駆け寄ってくるのだ。 「大変だわ、るいちゃん!!」 嫌な予感が嬉々丸の中に湧き上がってきた。 つい最近もそんなセリフを聞いて、ろくでもない目につき合わされた気がする。 嬉々丸は聞きたくなかったが、到着した百香は勝手に話し始めてしまっていた。 「どろぼーが出たんだよ!!」 「……泥棒?」 不穏な響きに嬉々丸は眉をひそめたが、百香は大きく頷いて語り続ける。 「だって、私のとっておきのケーキがないんだもん!!」 嬉々丸は眉間を押さえて溜め息をつきながら、静かに平穏を諦めた。
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