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だが、その日はいつもと様子が違っていた。
珍しく慌てた表情で駆け寄ってくるのだ。
「大変だわ、るいちゃん!!」
嫌な予感が嬉々丸の中に湧き上がってきた。
つい最近もそんなセリフを聞いて、ろくでもない目につき合わされた気がする。
嬉々丸は聞きたくなかったが、到着した百香は勝手に話し始めてしまっていた。
「どろぼーが出たんだよ!!」
「……泥棒?」
不穏な響きに嬉々丸は眉をひそめたが、百香は大きく頷いて語り続ける。
「だって、私のとっておきのケーキがないんだもん!!」
嬉々丸は眉間を押さえて溜め息をつきながら、静かに平穏を諦めた。
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