幼稚園児は笑わない:嬉々丸

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「………食べたん」 「あのね、昨日百香のうちにお客さんが来たの」 疑いの発言を百香は気付きもしないで封殺し、自分の話したい事ばかり話してくる。 嬉々丸は大人びた溜め息と共に、百香の話を聞き流した。 「でねでね、お土産にくれたケーキはブッシュ・D・ノアールっていうんだって」 誰だろうかその外国人は、と思いながら、嬉々丸はそのケーキの風貌を思い出す。正しくはブッシュドノエル…だったか。 確かロールケーキをクリームで包んだ、丸太ん棒みたいなやつだった筈だ。 と、そんな嬉々丸に嫌な予感が浮かんだ。 「…それが無いの?」 「うん」 「君が持ってきたのは一本?」 「ううん。昨日の残りの一切れ。おやつの時間に食べようと思って」 OLか君は?…という質問を飲み込んで、嬉々丸はもう一つ質問をした。 「それは何味だった?」 「チョコレート!!スッゴい美味しいんだよ!!」 嬉々丸は後半の百香の感想を完全に無視して、自分の中に生まれた確信に飲み込まれていた。 あれか。と。
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