幼稚園児は笑わない:嬉々丸

5/13
前へ
/13ページ
次へ
幼稚園には『おひるね』の時間があり、主に後先考えずに全力で遊んだ子ども達が、再び全力で遊ぶために泥のように眠る時間の事をいう。 だが、この時間は後先考えて遊ぶ嬉々丸には必要が無く、大抵彼はこの『おひるね』の時間を『どくしょ』の時間として過ごす。 そして今日の『おひるね』の時間、ちょっと小腹の減った嬉々丸は、冷蔵庫に美味しそうなケーキを発見し、自分で紅茶を入れて一人、素敵なティータイムを過ごしていたのだ。 が、どうやらあの抜群に美味しかったケーキは、百香の物だったらしい。 嬉々丸は必死に思考を始めた。 何せ相手は、あの百香だ。自分が食べたと分かったら、大騒ぎして『べんしょー』だ『イシャリョー』だ『よーいくひ』だと騒ぎ立てるに違いない。 それに百香が騒げば野次馬も増えるし、まず間違いなく先生達には悪者扱いだ。 何より今度から『おひるね』の時間に『おひるね』を強要されてしまう!! なんとか…、なんとか誤魔化さねば…。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加