2.その男、有名

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「あの屋敷もずいぶんと、手の込んだセキュリティーだったな。ま、やるだけ無駄なんだけど……」 ぶつぶつ言いながら、黒い手袋をつけたままポケットに手を突っ込んだ。 ウォルトは、その様子を見ながら他の荷物を下ろした。 「噂の”赤い瞳”だ」 手のひらにのせ、それをウォルトに見えるように掲げた。 「わぉ……すごいな。さすがにきれいだな」 ライトはうなずいた。 「これが、呪われたブレスレットだとは、思えないな」 「え?」 ウォルトは聞き返した。 「今、なんて?」 ライトは、にやりと笑いながら「ほんの噂話だ」と言ったが、ウォルトはそう言う話を信じるタイプらしく、じっとブレスレットを眺めていた。
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