2.その男、有名

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「その名前で呼ぶなって……」 テレビから視線を離しながら、つぶやいた。 チップは、テレビとライトを交互に見ながら「なぁ、なんでそんなにルパンって名前を嫌うんだ?」 ウォルトは、ドキッとしながらライトの表情を伺った。 彼は視線をテレビに戻し音量を下げながら「お前に関係あるか?」と質問を返した。 「や、別に……」 ライトの迫力に負けたチップは、小さくなった。 「しかし、こうも早く情報が公開されるなんて、やっぱりこれはただもんじゃないんだな」 ウォルトは、フッと笑いながら話題を変えるように話を始めながら、改めて”赤い瞳”を眺めた。 「そうだな。奴ら、血眼になって探してるだろうな」 余裕の表情のライト。 こわばった表情のままのチップ。察したウォルトは、チップの肩に手を置いた。 「ま、そんなに落ち込むなって。誰にも、聞かれたくない過去があるんだ。お前だってあるだろ?」 そう言われ、小さくうなずいた。
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