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エレベーターの中は、一人の男が目を丸くしてこちらを見ていた。
ライトは、平然と登っていく数字を眺めていた。
「に、兄さん???」
言われて振り返ると、そこにはライトと同じ顔をした男がもう一人立っていた。
「よぉ、弟」
片手をあげ、また数字の方に視線を戻した。
「よぉ、弟、じゃないよ!こんな所で何をしてるんだよ」
弟は、非常ボタンを押し、エレベーターを一時止めた。
ガタンっと音を立てて止まったエレベーターは少し左右に揺れた。
中の電気の色が黄色くなると同時にインターホンから声が聞こえてきた。
『どうされました?大丈夫ですか?』
「大丈夫です。なんでもありません」
男が、それに応えるとインターホンからの声は聞こえなくなった。
男は、カメラに目をやった。
「俺は、そんな盆ミスはしないぞ?」
しっかりカメラの死角に入り込んでいるライト。
「一体何しに来たんだ」
「久しぶりの再会を喜んではくれないのか?」
男は、呆れた顔でライトを見た。
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