3.その男、標的

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エレベーターの中は、一人の男が目を丸くしてこちらを見ていた。 ライトは、平然と登っていく数字を眺めていた。 「に、兄さん???」 言われて振り返ると、そこにはライトと同じ顔をした男がもう一人立っていた。 「よぉ、弟」 片手をあげ、また数字の方に視線を戻した。 「よぉ、弟、じゃないよ!こんな所で何をしてるんだよ」 弟は、非常ボタンを押し、エレベーターを一時止めた。 ガタンっと音を立てて止まったエレベーターは少し左右に揺れた。 中の電気の色が黄色くなると同時にインターホンから声が聞こえてきた。 『どうされました?大丈夫ですか?』 「大丈夫です。なんでもありません」 男が、それに応えるとインターホンからの声は聞こえなくなった。 男は、カメラに目をやった。 「俺は、そんな盆ミスはしないぞ?」 しっかりカメラの死角に入り込んでいるライト。 「一体何しに来たんだ」 「久しぶりの再会を喜んではくれないのか?」 男は、呆れた顔でライトを見た。
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