3.その男、標的

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ライトは、弟と別れると、そのまま上の階を目指した。 エレベータは使えないため、階段を上っていった。 少々息を切らしながらもようやく目的の階に到着すると、大きくため息をついた。 エレベータの前にある、案内図を確認するとまっすぐ奥へと進んだ。 正面に見えてきたのは大きな重たそうな扉。 ライトは堂々とした歩きで扉に手を伸ばした。 ライトがドアノブに手をかける前に扉は開かれた。 中から、女性社員が一人目を丸くしてこちらを見ている。 「あら、ケン。何か忘れ物?」 ライトは、話を合わせた。 「はい、ちょっと資料を……」 適当に嘘をついたが、それが幸いしたらしく女性社員は何の疑いもなく奥へと入れてくれた。 「ありがとうございます」 去り際の女性社員に軽くお辞儀をし、そっと扉を閉めた。
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