3.その男、標的

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「なんだ。ケン。忘れものとは珍しいな」 奥から男の声が聞こえてきた。 ライトは黙ってそちらに向かった。 返事のないことが不思議に思った声の主は、くるりと椅子を回転させた。 「よぉ」 ライトは、不敵な笑みを浮かべた。 「ラ、ライト……!!!!」 男は、驚きのあまりそれ以上声を出せないでいたが、手は非常ボタンを押そうとしていた。 「あ、あ。やめた方がいい。そんな事をしても無駄だ。あんたが一番わかっているはずだろ」 唇を噛みしめながら、男は悔しそうにライトを睨みつけた。 「何故ここへこれた」 「俺を誰だと思ってんの?親父」 「お前に、親父と呼ばれる筋合いはない」 勢いよく立ちあがると、拳銃をこちらに向けた。
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