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「言ってくれるな、親父」
ライトは、ドアの方に視線をやった。
バタバタと足音が聞こえてくると、数人の男たちが一斉に部屋に入り込んできた。
「親父に忠告だ」
男たちに囲まれているライトは、視線を父親から離すことなくしゃべり続けた。
「俺は、あんたを許さない」
そう言うと手を後ろに回し、ポケットから黒い塊を出すとそれを勢いよく地面にたたきつけた。
ボンッと言う音とともに黒い煙が辺りを包み込んだ。
ゲホゲホと咳き込む男たちに、父親は罵声を浴びせた。
「せいぜい、気をつける事だな。あぁ、それから、俺を殺すために送り込んだ賞金稼ぎだが、奴は死んだよ。あんたが殺したようなもんだな。母さんみたいに……」
耳元で声が聞こえ、父親はゾクッと背中に汗をかいた。
「おい!お前たち!何をしている!ライトはここにいるぞ!!!」
父親は奇声にも似た声を発していた。
黒い煙に巻かれて、ライトの姿はすっかりとなくなっていた。
駆け込んできた男たちは、何の役にも立たず、ただただ涙目になった目をこすりながら、右往左往しているだけだった。
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