4.その男、移動

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にやりと笑うと「聞きたい?」といやらしく聞いた。 ウォルトは、チップの頭を軽くはたくと「いいから早く教えてくれよ」と促した。 チップは、パソコンの画面をウォルトに向けた。 向けられた画面を食い入るように見たウォルトは、その中に並べられている数列に首をかしげた。 「なんだ?これ」 「今、警察のデータベースにハッキング中ってこと。情報が欲しいって、ライトが言ってたからちょっと俺なりに調べてみたんだ」 ウォルトからは「へぇ」と気の抜けた返事が返ってくるだけだった。 チップはがっくりと肩を落とし、画面を自分の方に戻した。 「それで?なんかわかったか?」 「ここの警察のネット事情はすげぇ甘くてさ。ファイアーウォールなんて簡単に崩せたし……」 ウォルトは、片手をあげて「俺にコンピュータの専門用語は、言わないでくれ」と言った。 「まぁ、ようは簡単に警察のコンピュータに侵入出来たってこと。それでわかった事があるんだけど……」 また、カタカタとキーボードを打ち始めると、すぐにウォルトに画面を見せた。 「これ、ライトの親父さんの事だよな?あの、女探偵となんか絡んでるみたいだな」 画面には、エリコムコーポレーションの写真と、その社長が写っていた。 「さらに気になるのは、その隣にいる人物」 チップは画面の左をトントンと、人差し指の腹でたたいた。 「これ、どう見てもライトだろ?」 ウォルトは、目を細め画面を再確認した。
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