プロローグ【黒い森】

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どれも二本足で歩行するのではなく、獣のような四足歩行だった。 その方が早く走れるよう、彼等の後ろ足は太腿と脛部分は極端に短く、つま先からカカトまでの長さが極端に長い作りになっている。 つまり、獣のそれと同じだ。 そして、残った体の大きな獣人と最初に現れた獣人は、ゆっくりと少女が走り去った方角へと向う。 獲物を三方向から挟み討ちにする作戦は、訓練して身に着けたものなのだろうか。 それとも生まれ持った本能なのだろうか。 どちらにせよ、彼等が優れたハンターであることは間違いない。 いくら、外敵に気配を悟られないように施した魔法のマントに守られているとはいえ、少女が捕らえられるのは時間の問題だ。 暗く深い森は息を殺し、そんな様子をただ静かに見守るだけだった。  
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