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世界七大陸の中で最も小さな大陸に、ひとつの王国があった。
その名はカーネヤ。
人口が一千三百万人程の小さな国家だ。
とはいえ、その広い敷地には他国では類を見ない程の『人間(ひと)ならぬ者』の種族が数多く存在しており、その数を加えれば、面積で世界最大を誇る都市国家シ・ジョウと肩を並べる程だ。
『人間ならぬ者』
高度な知恵を持つエルフ族や、指先が器用なドワーフ族。いつも陽気なホビット族などがそれにあたる。
だが彼等のように、人間に対し比較的友好的な種族ばかりではなかった。
肉食である獣人族や、人間の三倍から四倍の身体を持つ巨人族。元は神々と同属だったと伝説される魔族などは、人間に対して敵対心を向き出しにしているといってもいい。
また、人の形をしていない獣も数多く生息していた。
彼等にしてみれば人間は、自分達の生活を脅かす害虫や、ただの餌でしかなく、共に手を取り合う仲間ではないのだ。
それら多様な種族がひとつの大陸に集落を作り、それなりに共存しているのは、他の大陸では見られないことだった。
平地が少なく、農業にはあまり適さないカネーヤは、採掘した鉱物などを他国に輸出したり、加工した宝石を売ることで王国の生計を立てている。
しかし他国の人の間では、カーネヤがそのように優れた鉱物国家だという認識はあまり浸透していない。
それは、命をもつ誰もが知っている、ある伝説のせいだった。
現在、世界中で見られる全ての『人間ならぬ者』が生まれた国。カネーヤ。
全ての神話に出てくる『発生の地』
それが、世界中の人々に言い伝えられているカーネヤの姿なのだ。
未だその伝説をただの迷信だと思わせない確たる証拠が、この大陸に住む『人間ならぬ者』の種類の多さなのかも知れない。
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