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しかし少女は、父親が最後に自分に託した言葉を守り、それを達成させることが自分に架せられた運命だと受け入れられる、強い信念を持てる人間だった。
幼い頃よりそう育てられてきたのもあるが、生まれながらに持っていたものなのかも知れない。
少女はどんな時でも前向きに考えられる、強い心を持っていた。
ザザザッ…
遠くで誰かが落ち葉を踏む音が聞こえたような気がして、少女はハッと後ろを振り返った。
が、なんの気配も感じられい。
再び右手のネックレスを握り締め、素早く立ち上がる。
──早くこの森を抜け、あの人に逢わなくては…
走り出した少女の瞳には、先ほどまでの死への諦めはなかった。
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