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二年生の謎の死から一カ月。
何が起こるわけでもなく、毎日が同じ日々が過ぎるだけで、黒死蝶が現れる事がなかった…。
休み時間、いつもはボクが本を読んでいても、気にせず喋る星斗が一言も話していない事に気が付いた。
「星斗?ボーっとしてどうかした?」
本を読みながら、星斗を見ずに言うマコト。
「お前、本見ながら…中園蝶子だよ。美人だなと思ってさ。」
「ああ…今時珍しい黒髪で、おしとやかだもんな。」
サラッと本を読みながら答える。
「マコトは、興味ねえのかよ?」
「興味って言うか…ボクは、中園は好きじゃないかな…男女関係なく、人気はあるみたいだけど。」
「男からはモテて、女子からはあの白くて綺麗な肌に、サラサラの黒髪はどう保ってるかとか…おかげで、うちの学園は黒髪ブームだし…勉強も出来るし人気。スポーツも出来るなんて、完璧じゃね?!まあ、マコトとキャラかぶってるけどな。」
笑いながら、マコトの肩を叩く星斗。
叩かれながらも、本を読みつつ冷静なマコトは、少し怪訝そうに言う。
「そう?ボクとあの子は違うよ。」
「うーん…似てると思うんだけど…。」
そんな、くだらない話を二人がしていると、三年生の教室から大きな物音と悲鳴が聞こえた。
友だちと談笑をしていた男子生徒が、急に苦しみ出し、そのまま倒れて呼吸が止まったそうだ。
一瞬の出来事だった。
マコトと星斗も、他の生徒と一緒に、三年の教室へ来ていた。
「中園蝶子…。」
マコトはそう呟いていた。
「えっ?マコト、何で中園の名前?一カ月前の突然死した時と同じだろ?」
「あの事も、今日の事も…きっと中園蝶子は何か知ってるはずだよ。」
「何でだよ、あいつ転入生だぞ?」
「こんな事が起きたのは、中園がこの学校に来て、おまけに話した事も、ほとんど会ったこともない春風みのりから話し掛けられた…中園だけじゃなく、春風も何か知ってる気がするんだ。」
しばらくすると、学園に救急車と警察が到着した。
三年生の生徒が、病院に着くとすぐに、死亡が確認された…。
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