蝶子とみのり

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マコトは、ずっと黒死蝶について調べていた。 謎が多すぎたのだ。 毎日毎日、調べ物をしたり、好きな本「黒死蝶」を読まずに、資料や蝶の図鑑ばかり見ていたマコトに星斗はつまらなそうに話し掛ける。 「なあ、マコトー。この間から、何調べてんだよ?」 資料や図鑑から目を反らさずに、マコトは答えた。 「黒死蝶。二人もあの蝶に殺されたんだ…どうしてなのか気になって。」 「で?何かわかったか?」 「図鑑には載ってない蝶だった。でも、古い資料に蝶についての文献は見つけたよ。」 「文献ねえ。」 「うん。あの蝶は、死体の臭いに寄って来るらしいんだ…けど、それしか書いてないし、死臭に寄ってくるなら、昨日のは…。」 頭を傾げながら、話を聞いていた星斗が口を開く。 「よく…わかんねぇけど、生き物には死が近付くと、死臭がするんだってよ。それを分かるのは、カラスとかだけらしい。そっから俺が予想するに、その臭いを蝶も…って事は?」 「うーん…。」 死のニオイ。 それは、黒死蝶が好むニオイ。 校庭に、一匹の蝶が飛んでいる…。 「あっ…黒死蝶。」 黒死蝶の名は、学園中に広まっていた。 学園内で、黒死蝶を見掛けたら近付くな。 あの死の鱗粉で殺される…と。 ある日のホームルーム。先生から、黒死蝶について話があった。 「あーっと、それから最近、学園内で起こってる突然死についてだが、黒死蝶だか言う蝶の噂があるみたいだが、そんなデマに流されるなよー?蝶の鱗粉で人が死ぬわけがないだろう。いいな、気にしないことだ!わかったなー?」 はーい。と返事をするものの、みんなからの恐怖心は消えなかった。 だが、先生の言う通りだとボクは思った。 死ぬっていう証拠はない…でも、死なない保証もないのだ…。
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