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Prologue
どんな国でも、時代でも、不思議な事や事件はある。
それが、自分の身に起きないとも限らない。
例え、信じられないような出来事でも…。
こんな名前の蝶を知っているだろうか。
「黒死蝶(こくしちょう)」またの名を「夜光蝶(やこうちょう)」。
生き物の死骸に群がり、夜には光り輝く蝶になる。
昼間は黒く、夜には光る蝶。
そんな、蝶の存在を…。
幼稚舎からのエスカレーター式で、他校からの入園する事がほとんどない蝶塚学園。それが、主人公黒崎マコトの通う学園の名前。
この学園のほとんどの生徒や教師には、ある特徴がある。
それは、ハーフやクォーターや、遺伝の為に瞳がブルーやグリーンといった教師と生徒。
もちろん、ハーフやクォーターなどではない生徒もいる。
学園は四月になり、新入生が入学してから、丁度二週間が経っていた。
そんな朝。
登校中。黒崎マコトが歩いていると、後ろから声がした。
「おはーマコト。って、またその本かよ。」
苦笑気味にそう笑いながら声を掛けてきたのは、陽野星斗。マコトの幼稚舎からの親友だ。
「ああ、星斗。おはよう。またって事はないだろ。」
「だって、毎日のように読んでんじゃん。『黒死蝶』俺までそのタイトル覚えちまったよ。」
「ボクは、この本が好きなだけ。この本みたいな不思議な事はないからね。本の中の世界は、信じられない事も、真実にしてしまうからね。」
誰の身にも、とんでも無い事が起こり得る事。
そんな事が、ボクの身に起ころうとは、思ってもいなかった。
…あの子に会うまで。
「クロサキ…マコト…。」
「じゃあな、マコト!!」
「また明日。」
「…黒崎…マコト?」
「えっ?」
「キミ…黒崎マコトくんだよネ?」
「そうだけど…君は?その制服、ボクと同じ学園?」
「ワタシは、隣のクラスの春風みのり。」
「ハルカゼ?あの…初等科から学年トップの?その春風が、ボクに何か用?」
「黒死蝶に気を付けてネ?キミはもう、黒死蝶に狙われた。」
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