10人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、朝からマコトはボーッとしていた。
昨夜の夢から、一睡も出来ずにいた。
授業の内容も頭に入らないまま、下校時間になり、人間の帰巣本能のまま、家へと向かっていた。
「…っ!…ト!マ…ト、マコト!」
「えっ?何?星斗。」
「何?星斗。…じゃねーよ!お前、今日1日変だぞ?」
「ごめん、なんか…ちょっと考え事。」
「日本語もちょっと変だぞ?」
「ごめん、気にしないでよ。」
そんな会話をしていると、二人の目の前に少女が現れた。
「クロサキマコト。…とヒノセイト。」
「えっ?君は?」
「マコトはボク。星斗はこっち。」
ボクは冷静に、少女へ話しかけていた。
「クロサキマコト。ワタシはキミのソバにズッとイた。」
「マコト、知り合いかなんか?」
不思議そうに、ボクに聞く星斗に、また冷静に答える
「夢で会った。」
「夢?!」
「マコト。死はスグそばマデきテいるよ。ワタシは中園…中園蝶子。キミには、ワタシのショウタイわかるよね。」
「うん…。」
「マコト。もうスグだよ…。」
女の子が現れた瞬間、ボクらは夢の世界にいるような感覚だった。
それが終わると、いつもの見慣れた風景。
あの、夢のような感覚には似付かわしくない女の子。
黒く長い髪は、腰のあたりまであって、年はボクより下に見えた。
真っ黒なワンピースに、素足。
綺麗に整った顔に、片言の日本語。
瞳は少し金色っポイような色。
その子の周りは暗いのに、ボクらの周りは明るかった。
彼女の「もうスグ」と言う言葉が引っ掛かる。
何がもうすぐなのか…一体、ボクに何があるのか。
中園蝶子は、何者なのか…。
最初のコメントを投稿しよう!