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『昨日の事で、いろいろ耳に入っただけ』なんて、そんな話し嘘だった。
朝、いやに早く目が覚めると、目の前には黒死蝶が飛んでいた。
一瞬だけ部屋が暗くなったかと思うと、今度は黒死蝶ではなく、黒いワンピースに腰まである長い黒髪、そして素足の少女に変わり、ボクの目の前に現れた。
『コヨイは、血のニオイがするな。死のニオイだ。』
『死のニオイ?』
『そう、死のニオイだ。オマエは死のニオイからノがれられるか?黒死蝶の死の鱗粉から…もうオマエは、ネラわれている。そして、スデにダレかがエジキとなった。黒死蝶からはノがれられない…。』
そう言うと、一瞬にして少女はボクの前から消えていた…。
窓の外から、小鳥の声が聞こえていた…。
「おーい、マコト?」
「えっ?ああ、ごめん。何?」
「いや、もう午前の授業終わってるけど。」
「あ、そう。」
「まあ、いいや。飯行くぞー。」
「うん。」
暗い…どこまでも続く闇。
この闇は…本物なのか…?
これは、多分…黒死蝶の羽の色…。
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