死の足音

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「お前、独自に動くのか?」 「くくっ、僕の体に満ち満ちているコミュニケーション能力を感じることが出来んのかね?」 「わかんねえって。でも、協力してやる気はあるんだよな」 「無論だ。むしろ君を一人にすることは叶わない」  まるで幼稚園児でも眺めているかのような、見ていて危ないものに対する視線に感じた。  物凄く腹立だしいが、確かに俺は前例があるので、文句を言うことが出来ない。  口惜しさに堪える中、篠原がふっと急に吹いたかと思うと、ちらちらと俺に視線を移しては、また顔を背けて笑うという動作を繰り返した。 「なんだよ! 本当に厭な奴だなお前!」 「くくくくっ、なあに。君の変顔があまりに笑えたもので――まさか素顔かね? くっ、くくくっ、それは失礼」 「ああ? なんだてめえ、喧嘩売ってんのか!?」 「喧嘩なんて僕は取り扱っていないよ。まあ、冗談はこれくらいにしておいて、だ。 君の体はまだ正常らしい。感情も君のものだ。その怒りに偽りはないかね?」 「あ、ああ? なんだよ、急に……」  気が削がれ、急激に顔に溜まった熱が放出されていく。  怒りに偽りもなにもないってんだ。だって俺は俺なんだからな。 待てよ。俺は俺、か。自分を自分だと、俺ははっきりと認識出来てる。自分の存在を確かに感じていられてるじゃないか。  こいつ、このことを俺に気付かせるためにあんなことを? いや、こいつの性格はそこまで完璧じゃない。半分正解半分はずれのはずだ。
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