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『どうだね、HOUND DOG諸君。我が国が大金をかけて購入した新型トマホークは。』
不意に、自慢げな声が響く。
総督のものだ。
「全部お見通しって訳か。」
ダメ元でコルト・カバメントを総督のいる見物席に向けて発砲するが、やはり手前の防弾ガラスで弾き返されてしまった。
『無駄だよ、黒瀬くん。このミサイルは今から40秒後、君の祖国日本の国会へ向けて発射される。』
今から40秒後。
制止する術は無かった。
今から40秒後、この新型ミサイル『トマホーク』は、間違いなく日本を壊滅させる。
「くそったれが……!!」
悪態をついても、時間は縮まらない。
最早手段は、『一つしか』なかった。
米国の軍の備蓄倉庫から持ち出した、トマホークごとこの基地を破壊する、唯一の手段。
『……ん?おい、それは何だ!?』
俺が懐からだしたものを見て、総督が声をあげる。
俺はニヤリと笑うと、その最終兵器……『TNT爆弾』を、カウントダウンに入ったトマホークの発射台に設置する。
熱風で全身火傷に近いが、どうせ死ぬんだ。関係ないだろう。
『まさか……お前まで死んでしまうぞ!!』
「トマホークもろとも、総督も一緒に逝きましょう。」
戸惑う総督の制止を他所に、俺はTNT爆弾のスイッチを押した……。
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