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「顔、見せて」
「嫌だ」
きっぱり断られてしまった。
無理矢理向かせたっていいのだけれど、後々機嫌を悪くされたら面倒だ。
「じゃあ、キスしてあげないよ」
そう言ってみれば、恐る恐る顔をこちらに向けてくる。
目が行き場なく泳いでいる。
正直な子だなあ、もう。
顔に添えていた手を上に滑らせ、頭をぐっと引き寄せる。
それに合わせて、自分の頭を浮かせてキスをする。
「ん、ぁ……っ」
苦しくなったのか、息を吸おうと僅かに口を開いた時に舌を滑り込ませる。
押さえ付けていた手を凍夜の背に回し、抱きしめてやる。
そうしたら、逃げるように引っ込められていた凍夜の舌が少しずつ絡められてくる。
温かくて熱い、理性が飛んでしまいそうな。
どちらのものかもわからなくなった唾液が、溢れ出して口端を伝い、零れていった。
深く深く口付けて絡み合って、
どのくらいの時間が経ったのだろうか。
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