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政哉には兄弟がいるらしい。
親も親戚もみんな死んでしまったと教えてもらったけれど、兄弟が残っていたなんて知らなかった。
何でも五つ年上で、十年前に家族とは縁を切ったのだとか。
だからまだ生きているんだって。
その兄弟が近々、この家に来るそうだ。
詳細な時間や日付はわからない。
「どうしたもんかな……いっそ世界一周旅行にでも行こうかなぁ……」
なんて冗談みたいなことを真面目な顔をして言うもんだから、
「何でそんなことする必要があんだよ? まるで逃げるみたいなことをよ」
そんな疑問を投げかけた時に返ってきたのは、殺意にも似た目だった。
鋭い眼光で睨まれて、思わず怯んでしまう。
オレも弱くなったな、と射竦められて改めて実感。
「兄貴のことを知らないからそんなことを言えるんだ。一番危ないのは凍夜だってのに」
「は? 何でオレが危ないわけ」
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