キス

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「まーさーやー」 自室のベッドに寝転び、読書をしていた政哉が本を下ろした。 ベッド横に座りこんでいる右目に眼帯をした少年。 いつ入ってきたんだか。 「どうしたの、凍夜」 「うん? 別に何もねぇよ。邪魔しに来ただけ」 端正な顔が無邪気に笑う。 読んでいた本を脇に置き、政哉は起き上がる。 その反動で髪留めが外れ、髪が自然に流れる。 それから凍夜の黒髪を撫でてやると、今度は嬉しそうに笑う。 こいつは自分の感情に素直だ。 「おいで」 と手招きすれば、迷いなくベッドに上がってきて後ろから抱き着いてくる。 甘えてくる凍夜は可愛いから好きだ。 「政哉、キスしてくれよ」 「駄目って言ったら?」 「殺しちゃうかも」 「それは困るな」 凍夜の腕をとり一度離れさせる。 政哉は向き合う形に体の向きを変えてから、掴んでいた腕を引き寄せる。 その勢いで、華奢な体はすんなりと政哉の腕の中におさまる。
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