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部室の扉を開く。
物音一つしない、静かなものだ。
誰も来ていないのかと思い、中に入って扉を閉める。
つまらない。
誰もいなければ何もすることがない。
とりあえず、コーヒーでも煎れて誰かが来るまでを過ごそうと、部屋の奥にある給湯室へ向かう。
先程と同じような扉を開き、中に入ったところで、
「なんだ、いるじゃないか」
給湯室の机に突っ伏している幹也がいた。
こちらに気づく様子もなく、リズムを刻むように上下に揺れる肩。
すっかり眠っているようだった。
そんな幹也のすぐ傍まで行くと寝顔が窺える。
童顔だからか、その寝顔からはあどけなささえ感じられる。
赤みがかった髪に手を置き、そのまま乱暴に撫で回す。
「う、ん……」
小さく声が漏れたが、目を覚ます気配はない。
また規則正しい寝息をたて始めていた。
そんな幹也を見て笑いを零す。
目を覚ましたら思う存分遊んでやろう。
そんなことを思い、幹也の額にキスを落とした。
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