13人が本棚に入れています
本棚に追加
頸動脈。
勢いよく多量の血が溢れ出す。
凍夜の体が崩れ落ち、
「馬鹿ッ!」
叫びながら倒れた凍夜のもとへ急いだ。
上着のポケットからあれやこれやと様々な医療器具を取り出し、絶え間なく血が溢れ出すそこへ処置を施す。
もちろん医療行為を許された身ではないが、そんなことを守っているようでは凍夜は護れない。
短いような、長いような時間が過ぎ、あらかたの処置を終えて漸く一息つく。
呆れていると同時に、ここまで必死になっているのも自分。
相当嵌まってしまっているみたいだ。
「あー……やっぱ俺、お前が好きだよ、凍夜」
意識のない血まみれな姿にそう言って、そっと抱きしめた。
壊さないように、大事に大切に。
その温かみを確かめるように。
最初のコメントを投稿しよう!