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このフォンタナ王国は約200年程前に魔界(正式には“破衝界”)の者達により一度滅亡したとされている。
しかし数十年後に平穏が訪れし時、生き延びた者達の手により再建された国の一つであった。
再建した国の玉座に迎えられたのは生き延びた民の一人であり三英雄の一人とも呼ばれた魔法使いだった。
魔法使いは即位後に民から“導王”と呼ばれる様になった。
しかしその導王も50年余りの治世の後、兄弟の孫の一人「ガルディスⅠ世」に玉座を譲り忽然と王宮から姿を消したと伝えられている。
また、同時期に他国の王となっていた2人の英雄王
ディオヴェントの法王
レリーソンの闘王
…‥も王位を次の者達に譲り姿を消したと伝われている。
その為3ヵ国には今でも玉座は2つあり1つは英雄王の席であり国の象徴となっている。
フォンタナ王国の「色の園」との別称もある後宮の「姫宮」と呼ばれる宮館の一角で、宮廷学者の老師は講義という名の長話を続けていた。
しかし…‥このところは雨続きだった為に憂欝だったらしい少女は、久しぶりの晴れに窓から庭園を眺めており心ここにあらずの様子であった。
「自国の歴史を識るのは立場在りし者にとって当然の事なのですぞ!」
老師は高価な生地で出来た衣裳を身に纏ったこの少女の様子に気が付き、早くもこの日何度目か解らなくなりかけている小言を口にした。
しかし少女の方は相変わらず庭園が気になっており聞いてもいなかった。
「姫君、お父上様にまた怒られますよ!!」
と言う老師の言葉にも完全無視を決め込むのだった。
結局この日の講義はそれ以上進まず、姫君と呼ばれた少女セレナは癇癪をおこして老師に書籍を投げ付け「姫宮」の中から庭園へと飛び出してしまった。
講義に同席していた女官達はあわてて彼女を追った。
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