3. 理想と現実

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金曜日の18時5分。 「わぁ、えんまゆ、今日は何あるの?」 2才上で、広報担当の有香さんから声をかけられた。 「同じ美大の彫金卒の友達が、秋葉原と御徒町の間の高架下に明日から工房付のお店をオープンさせるんです。 19時からオープニングパーティがあって」 いつもより早めに退社。 ちょっとだけドレッシーな、タイトなシルエットのシャツワンピに、最近買ったヒール部分だけ真っ赤なチャコールグレーの9cmピンヒール。髪もアップスタイルにまとめてみた。 自転車通勤に向いてないお気に入りのヒールが高い靴は、急なお誘いにも対応出来るように、常に2足だけ選んでオフィスの靴箱に入れさせてもらってるのだ。 自転車通勤のおかげか、あんまり運動してなかった大学時代より、今のほうがよっぽど「いい足」なんじゃない? なんてね。 いつもパンツだし、オフィスの仮眠室で着替えて、この姿で帰る準備をしていると、色んなスタッフに声をかけられてしまう。 まっ、私が、逆の立場でもそうなるよね(笑)
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