3. 理想と現実

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土曜日に出社するつもりで、普段の通勤リュックは会社においたまま、パーティー仕様で軽めの荷物で廊下へ。 コツコツと、軽やかな音が廊下に響く。 夕方になると、ワンフロアーを使い切ってるからこその醍醐味。 思わずステップを踏みたくなるビートの激しい音楽が、オフィス全体に響きはじめる。 「お疲れさま!お先に失礼します。皆さん、振り入れがんばってくださいねー!仕上がり、期待してますので!!」 「えんまゆ、お疲れー。どこか呼ばれてるの?」 「お疲れ様です!遠藤さんも早く部員になりましょうよー」 イベント時はセミナースペースにも早変わりするフリースペースの、鏡貼りになっている一角で、リパブリックのダンス部メンバーがストレッチを始めたところ。声をかけながら横切って、エントランスへ向かう。 ダンス部は元々ある「部活」。 (ちなみに、他にラン部、自転車部、ダーツ部、温泉部、そして電子工作部がある) 今は、著名な振り付け師に振り付けてもらって、来月のイベント「Mee meets the World 1st Aniv.」で配信するスペシャル動画として大々的に流す予定だから、メンバーも普段とは気合が違う! ここ2ヶ月だけでも、20人規模で社員が増えたし、部活は戦略的にも大事。 やっぱり、転職してきてスグになじんで動ける人と、ちょっとエンジンがかかるまで時間がかかる人がいるから。 部活を通してのコミュニケーションは、仕事に色んな好影響を与えてくれてる。 私はまだ転職経験がないけど、立場上、採用面接に入る事も多くなってきていて。 採用にGOサインを自分で出した人が、早めになじんで活躍してくれると、正直ホッとする。 何せ、経験のある人材は、今引く手あまたで取り合い状態で。 いくら「Mee」がヒット中で、準備に入っているとはいえ、まだ上場もしていないし、規模的には小さいリパブリックにとっては、優秀な人材をいかに採用できるか。そして定着率を上げること。 会社の成長エンジンは、アイデアを生み出したり、アイデアを形にしてくれる「人」なので、こういった、ちょっとムダだと思われるような「部活」にも、やるからには、めいっぱいがんばる。それが、社風になってるんだよね。 「急がなきゃ!」 もっと練習を見ていたいけど、時間が迫る。 何か買ってからお店に向かいたい。 うぅっ、9cmヒールは・・・さすがに走れないしね。
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