3. 理想と現実

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リリースしたのが、あまりにタイミングが良かったのか、順調すぎる成長をみせる「Mee」。 「Mee」のユーザー数が伸びるにつれて、アクセスを支える側のコストは増大の一途で。 もちろん、収益性が高いサービス設計になってはいるけど、コミュニケーション系サービスの怖いところは「止められない」事。 一度インフラ化してしまった後は、本当にダウンさせられなくなってしまう。 少しでも止まると、ユーザーから大量の問い合わせが殺到しちゃうから。 ・低コストで安定稼働させるにはどうしたらいいのか ・もっと、サービスを良くするには? ・競合サービスとの差別化 ・企業タイアップの調整 ・マス媒体への広告投入のタイミングはどうする? ・人材確保 ・広いオフィスへの引っ越し(これは、先月完了。実はまだフロアーの半分しか使っていない) とにかく、やることが山積みで。 沢山の重圧と、それに匹敵する高揚感と。 自分で自分に「ガンバレ、ガンバレ」って。 きっと、芳川さんと私は、恋人だなんて、そんな甘いものじゃなくて「ビジネス上のパートナー」という信頼関係があって、その上で成り立っている共犯のようなものなんだろう。 そんな事を考えながら、山の手線にゆられる。 最近、打ち合わせといえば社内だし、自宅と自転車で往復するか、芳川さんの車に乗せてもらうか。 雨の日だけは地下鉄だけど、 〈夕焼けみながら電車にゆられるなんて、久しぶり・・・〉 なんて思いながら、駅を降りた。
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